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徳島県は「発心の道場」菜の花が咲きみだれる中、いよいよ遍路行が始まります。水高が増すと水没する潜水橋「沈下橋」も渡りました。八十八ヶ所で「寺」を「てら」と読むのは十一番藤井寺だけだそうです。ここを打ち、旧へんろみちに入り(ここは、へんろころがしと言われる厳しい難所です)石仏や道しるべの建っている長い長い山道を「はーはー」と息を切らし鼻水もすすりながら、登っては降り、降りては登りして、雨の中を「ちゅるちゅる」足元がすべり、それをふんばって、番外霊場「長戸庵」「柳水庵」「浄蓮庵」を経て第十二番焼山寺へ進みます。
麓の雨も山頂では雪に変わり、風も強く吹雪の中、手足も凍ります。そして五分の休憩の中で辺りを見渡すと、目の前の景色が見渡す限り雪にけぶり、山々がまるで墨絵のような幽玄な世界が一面に広がっていました。これは、「お大師様からいただいたご褒美」だと思っております。やっとの思いで焼山寺の大きなお大師様に迎えられると、皆口々に「お大師様有難う御座います、やっと着きました。有難う御座います。」と自然に手を合わせています。本堂の前で、ローソク、線香、納め札、御写経、お賽銭、そして読経。それから大師堂この順にお参りします。
第二十番鶴林寺は標高570米、第二十一番太龍寺は618米、ここも「へんろころがし」と呼ばれる険しい難所にお寺が有ります。ここも山頂は雪でした。平成四年からここ太龍寺はロープウェイが運行していますが、歩き遍路は当然歩きです。苦しくて苦しくて、口から心臓が飛び出しそうです。そして心の中で「南無大師遍照金剛」を唱えながら山門に辿り着く、「自分の足で辿り着いた。」そう思うと嬉しさが倍に成ります。