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衛門三郎は意識朦朧としながら目を開けると、なんと空海上人が目の前に立っておられるではないでしょうか。衛門三郎は一生懸命許しを請いました。すると空海上人は「良くぞここまで参られた。途中貴方に会うことはたやすい事だが、それでは貴方の為にならん。だから困難な道を歩ませたのです。しかしよく耐えましたね。貴方の罪は絶えました。今の貴方の心は明るく澄み切っています。しかし命のともし火は尽きようとしています。何か願いがあれば聞き届けよう。」「有難う御座います。」衛門三郎は涙を流しながら「伊予の国の城主に生まれ変わり、民の為に努力しとう御座います。」すると空海上人は小石に「衛門三郎再来」と書かれ左手ににぎらし、お加持をすると衛門三郎は息を引き取りました。すると成佛した妻や子供達が現れ、手に手をとって浄土へと旅立ちました。又空海上人は衛門三郎の墓を造り墓標として杖を逆さに立てたところ、その杖から芽が出て大きな杉の木と成り、今ではその場所を「杖杉庵(じょうしんあん)」と呼ばれています。それから間も無く空海上人は、文殊院に衛門三郎の位牌を子供達の位牌の横に安置されたそうです。時は流れやがて伊予の国主に男の子が誕生しました。ただ不思議な事に赤子の右手はじっと握られたままで、どんなに開こうともびくともしません。医者も駄目、祈祷師も駄目色々手を尽くしましたが、一向に手は開きません。