「なるほど、この雨はわしらの為に降っとるのじゃな」 全ての生きとし生ける者の為じゃよ。 「なるほど」 そしてもう一つ意味が有るのじゃ。 「和尚さん聞かせてくれ」 山さん時間は大丈夫か？ 「時間なら心配ない。どうせ帰ったらかみさんの手伝いじゃ！」 手伝いも大切な事じゃ。この話を聞いたら寄り道せずに真っ直ぐ帰ると約束するか？ 「するする」 昔ある村に変わったおばあさんが一人で住んでおったそうじゃ。何が変わっているかと言えば、娘たち二人が嫁いでからというもの、お天気であろうが雨降りであろうが、毎日家の玄関で「わんわん」と泣くそうじゃ。村の人々は心配して相談の上、おばあさんに尋ねる事にしたそうじゃ。 『おばあさん今日は雨降りじゃが、何が悲しくてそんなに泣くのか？』するとおばあさんは『長女が下駄屋に嫁いだ。雨が降ると履物が売れん、長女がかわいそうじゃ』そう言うと又「わんわん」と泣き出すそうじゃ。