準備中です
「壇信徒の話」
乗り換えた車も急な坂道をスイスイと。運転しながらガイドもしてくれるがどうも元気が無い。聞いてみると阪神タイガースのファンとのこと。阪神を誉めると調子があがり、声のトーンがかわり愉快な運転手さん。山の中程に衛門三郎の「杖杉庵」(じょうしんあん)があり、そのいきさつを説明してくれる。
しばらくすると海抜八百メートルの頂上で車を降りて、なだらかな道を約十五分ぐらい歩くと、第十二番札所「焼山寺」に着く。
しばらく歩くと、後から「そんなにバラバラに歩くとケガするど」と、先ほどの運転手さんの声がする。何事もなく無事に巡礼してもらいたいという遍路達への気遣いをここにも感じる。
お寺では大師堂で、佐竹院主さんに続いて全員が般若心経を読経するが、この辺ぐらいから全員のリズムが一致してきたかと思う。団体行動するときの読経は院主さんの近くに集まり、一点に集中する事が必要で、院主さんより注意を受けた「読経は耳で聞きながら唱えよ」と言われた事が、だんだんと判ってきたころである。帰り道、又運転手さんが「次のお寺はなんと言うのか」と聞かれても誰も答えない。又機嫌を悪くさせてしまったようだ。「つぎへつぎへと目標を無くしてはあかんど」と関西弁で示唆してくれる。和やかな雰囲気で第十三番札所「大日寺」に参拝後、ここで泊めていただく。