準備中です
十一月、いよいよ最終の「涅槃の道場」です。金剛杖も、ずいぶんと短くなってきました。1コース3センチ程短くなっています。管笠も大分傷んできました。七十番本山寺は四国霊場中唯一の馬頭観音様です。お寺そのものが岩壁の中に埋め込まれているような、七十一番弥谷寺、七十二番曼茶羅寺、樹齢1200年の笠松と呼ばれる大きく枝をはったそれは素晴らしい銘木です。そして、弘法大師御誕生の七十五番善通寺です。 御影堂の床下には戒壇めぐりがあります。100メートル程の真っ暗闇の中を進んでいくと、そこではお大師さまのコンピューターで再現されたお声が流れてきます。ここ善通寺の宿坊で一晩お世話になりました。
この頃になると、朝夕に寒さを感じるようになってまいりました。稲も刈り取られ、景色も広々として、季節はもう晩秋の気配です。 日が経つに連れて、残るお寺が少なくなってくると、結願を待ち望んでひたすら歩いてきたのですが、ここまで来ると何かしら寂しく、いろんなことが思い出されてきます。
三月、みぞれの中でいただいた温かいおぜんざい、甘酒のお接待にありがたく心から温まりました。雄大な太平洋を眺めながらひたすら歩いた車道、喘ぎ、喘ぎ上ったへんろ道、 おいしかったカツオの刺身、叩きつけるようなうどん雨、厳しい残暑の中の歩行、また30センチもある太く黒いみみず、おばあちゃんの手作りの巾着袋、ビーズで作った飾り玉、いただいてすぐにリュックにつけると、「ありがたいことで」と手を合わされたおばあちゃん。